レブラミド® (レナリドミド) 添付文書
レブラミド® (レナリドミド) 添付文書
試験 | 保存条件 |
保存形態 |
保存期間 |
結果 |
長期保存試験 |
25℃/60% RH |
PTPシート |
36ヵ月 |
変化なし |
加速試験 |
40℃/75%RH |
6ヵ月 |
変化なし |
|
苛酷試験(光) |
白色蛍光灯 近紫外ランプ |
シャーレ開放 |
総照度:120万lx・hr以上 総近紫外エネルギー:200W・hr/m2以上 |
変化なし |
測定項目:性状(外観)、類縁物質、溶出性、定量
レブラミドカプセル5mg
試験 | 保存条件 |
保存形態 |
保存期間 |
結果 |
長期保存試験 |
25℃/60% RH |
PTPシート |
36ヵ月 |
変化なし |
加速試験 |
40℃/75%RH |
6ヵ月 |
変化なし |
|
苛酷試験(光) |
白色蛍光灯 近紫外ランプ |
シャーレ開放 |
総照度:120万lx・hr以上 総近紫外エネルギー: 200W・hr/m2以上 |
変化なし |
測定項目:性状(外観)、類縁物質、溶出性、定量
A 健康成人でのデータはありません。
参考情報として、ラットで組織分布を検討したデータ、アカゲザルで脳脊髄液(CSF)中のレナリドミド濃度をLC-MS/MS法で検討した報告があります。
・ラットおよびアカゲザルの結果[1]
<ラット>
白色ラット(雄)及び有色ラット(雄)に14C-レナリドミド150 mg/kgを単回経口投与し、定量的全身オートラジオグラフィーで組織分布を検討したところ、白色ラット及び有色ラットともに投与1時間後から7日目のいずれの時点でも脳での放射能濃度は定量限界(1.37又は1.41 mg eq./g組織)以下であった。
<アカゲザル>
アカゲザル(雄)3匹にレナリドミド20 mg(1.2~2 mg/kg)を単回経口投与し、血漿中及び脳脊髄液(CSF)中のレナリドミド濃度をLC-MS/MS法で検討したところ、1匹は検出限界以下*、2匹のCSF移行率**は、それぞれ11%であった。
* 検出範囲:3.82~1,928 mM
** CSF移行率:CSF AUCinf/血漿中AUCinf×100
A
≪作用機序≫
レブラミドの有効成分であるレナリドミドは、サイトカイン産生調節作用、造血器腫瘍細胞に対する増殖抑制作用、血管新生阻害作用を有すると考えられています。
しかし、詳細な作用機序は解明されていません[2]。
≪In vitro試験≫
18.2.1 種々のヒト多発性骨髄腫由来細胞株に対して増殖抑制作用を示し、その作用はデキサメタゾンとの併用で増強しました。
18.2.2 ヒト末梢血単核球におけるTNF-α、IL-1β、IL-6及びIL-12等の炎症性サイトカイン産生を阻害し、抗炎症性サイトカインIL-10の産生を促進しました。また、ヒトT細胞におけるIL-2産生及びIFN-γ産生を促進しました。
18.2.3 血管内皮細胞の遊走や微小血管の形成を抑制することにより血管新生を阻害しました。
18.2.4 5番染色体長腕部を欠失している造血器腫瘍細胞の増殖を抑制しました。また、CD34陽性造血幹細胞の分化誘導時に胎児ヘモグロビンの発現を促進しました。
18.2.5 ヒト成人T細胞白血病リンパ腫由来細胞株(HuT102)に対して増殖抑制作用を示しました。
18.2.6 ヒト濾胞性リンパ腫由来細胞株(DOHH-2及びRL)及びヒト脾辺縁帯リンパ腫由来細胞株(SLVL)に対して増殖抑制作用を示しました。また、レナリドミドとリツキシマブとの併用により、レナリドミド単独と比較して、濾胞性リンパ腫(FL)患者由来FL細胞に対する増殖抑制作用が増強しました。
≪In vivo試験≫
18.3.1 ヒト多発性骨髄腫由来細胞株(NCI-H929)を移植した重症複合免疫不全マウスにおいて、用量依存的な腫瘍増殖抑制作用を示しました。
18.3.2 ヒト成人T細胞白血病リンパ腫由来細胞株(HuT102)を移植した重症複合免疫不全マウスにおいて、用量依存的な腫瘍増殖抑制作用を示しました。
A[2]
1. 血漿中濃度の推移
<健康成人:単回投与>
健康成人(日本人、n=7)に本剤3用量(5mg、10mg、20mg)を単回経口投与した時、血漿中未変化体濃度は投与約0.5~1時間後に最高値に達し、消失半減期(t1/2)は約2~3時間でした。
健康成人(日本人)での単回投与時の血漿中レナリドミド濃度の推移
健康成人(日本人)での単回投与時の薬物動態パラメータ(n=7)
用量(mg) | 5 |
10 |
20 |
Cmax(ng/mL) |
113±35 |
227±46 |
521±195 |
AUC∞(ng・hr/mL) |
345±59 |
727±115 |
1,462±174 |
tmax(hr) |
1.0(0.50, 2.5) |
1.0(0.50, 1.0) |
0.50(0.50, 1.5) |
t1/2(hr) |
2.28±0.48 |
2.36±0.41 |
2.24±0.42 |
平均値(算術平均値)±SD。ただしtmaxは中央値(最小、最大)。
<多発性骨髄腫患者:単回投与及び反復投与>
再発又は難治性の日本人多発性骨髄腫患者に本剤10mg(n=3)、25mg(n=6)を単回投与及び反復投与した時、血漿中未変化体濃度は投与約0.5~1時間後に最高値に達し、消失半減期(t1/2)は約2~3時間でした。また、反復投与による蓄積性は認められませんでした。
再発又は難治性の日本人多発性骨髄腫患者での単回投与及び反復投与時の薬物動態パラメータ
レナリドミド10mg(n=3) |
レナリドミド25mg(n=6) |
|||
単回投与時 |
反復投与時 |
単回投与時 |
反復投与時 |
|
Cmax(ng/mL) |
330±116 |
316±69 |
642±163 |
721±109 |
AUCτ(ng・hr/mL) |
1,063±300 |
1,050±300 |
2,835±1,059 |
2,892±952 |
tmax(hr) |
0.93(0.50, 1.0) |
0.5(0.45, 1.0) |
1.0(0.43, 2.0) |
0.97(0.45, 1.5) |
t1/2(hr) |
2.57±0.65 |
2.45±0.42 |
3.20±0.83 |
3.26±1.02 |
平均値(算術平均値)±SD。ただしtmaxは中央値(最小、最大)。
<骨髄異形成症候群患者:単回投与及び反復投与>
5番染色体長腕部q31q33欠失を有し低リスク又は中間-1リスクの骨髄異形成症候群による貧血症状を伴う日本人骨髄異形成症候群患者に本剤10mgを単回投与(n=6)及び反復投与(n=5)した時、血漿中未変化体濃度は投与2.5時間及び2.9時間後にそれぞれ最高値に達し、消失半減期(t1/2)はそれぞれ3.3時間及び3.7時間であった。また、反復投与による蓄積性は認められませんでした。
日本人骨髄異形成症候群患者での単回投与及び反復投与時の薬物動態パラメータ
レナリドミド10mg |
||
単回投与時 (n=6) |
反復投与時 (n=5) |
|
Cmax(ng/mL) |
145±56.0 |
155±46.6 |
AUCτ(ng・hr/mL) |
925±344* |
936±355 |
tmax(hr) |
2.52(1.00, 5.95) |
2.93(1.00, 4.00) |
t1/2(hr) |
3.33±0.81* |
3.70±1.20 |
平均値(算術平均値)±SD。ただしtmaxは中央値(最小、最大)。
*n=5
<成人T細胞白血病リンパ腫患者:単回投与及び反復投与>
再発又は再燃の日本人の成人T細胞白血病リンパ腫患者に本剤25mgを単回投与した時、血漿中未変化体濃度は投与約1時間後に最高値に達し、消失半減期(t1/2)は約3.5時間であった。また、反復投与による蓄積性は認められませんでした。
再発又は再燃の日本人の成人T細胞白血病リンパ腫患者での単回投与及び反復投与時の薬物動態パラメータ
コホート1/コホート2 (25mg周期/連日) |
||
単回投与時 (n=6) |
反復投与時 (n=5) |
|
Cmax(ng/mL) |
503±80.8 |
498±91.3 |
AUCτ(ng・hr/mL) |
2,755±1,078 |
2,868±1,033 |
tmax(hr) |
1.06(0.92, 2.00) |
1.03(1.00, 2.17) |
t1/2(hr) |
3.51±1.04 |
3.71±0.95 |
平均値(算術平均値)±SD。ただしtmaxは中央値(最小、最大)。
2. 血漿蛋白結合率
レナリドミドの平均血漿蛋白結合率は約30%であった(外国人の成績)。
3. 代謝、排泄
In vitro試験ではレナリドミドはヒト肝ミクロソーム及び肝細胞のいずれでも酸化や抱合等の代謝は受けなかった。レナリドミドの代謝は未変化体での排泄がほとんどである。健康成人に[14C]レナリドミドを単回投与した時、投与量のおよそ82%の放射能が未変化体として尿中に排泄された(外国人の成績)。
A レナリドミドの精液中への移行性が認められています。
レナリドミドは精液中へ移行することから、投与終了4 週間後まで、性交渉を行う場合は極めて有効な避妊法の実施を徹底(男性は必ずコンドームを着用)させ、避妊を遵守していることを十分に確認してください。また、この期間中は妊婦との性交渉は行わせないでください[2]。
健康成人24例にレナリドミド25mgを1日1回4日間反復経口投与したとき、最終投与2時間後及び24時間後で精液中にレナリドミドが検出され、その平均濃度はそれぞれ478ng/mL、10.0ng/mLでした。また、精液中レナリドミド量(平均値)は2時間後1,379ng/射精、24時間後35.0ng/射精であり、それぞれ1日投与量25mgの0.0055%、0.00014%に相当しました。精液中のレナリドミドのほとんどは投与後24時間以内に消失し、最終投与から72時間後、168時間後では精液中のレナリドミドは検出限界以下でした。
また、健康成人男性6例に放射能活性を有するレナリドミド25mg懸濁液(14C-レナリドミドと非標識レナリドミドの混合物)を単回経口投与して、10日間の尿、糞便、精液中の代謝物プロファイルを検討しました。その結果、レナリドミドの90.3%が尿中に排泄され、糞便中に3.6%、精液中に0.0059%排泄されました[1]。
A 用法及び用量は以下の通りです[2]。
・多発性骨髄腫
他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはレナリドミドとして、併用する抗悪性腫瘍剤の投与サイクルを考慮して、以下のA法またはB法で経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
A法:1日1回25mgを21日間連日投与した後、7日間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す。
B法:1日1回25mgを14日間連日投与した後、7日間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す。
・5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群
通常、成人にはレナリドミドとして1日1回10mgを21日間連日経口投与した後、7日間休薬します。これを1サイクルとして投与を繰り返します。なお、患者の状態により適宜減量してください。
・再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫
通常、成人にはレナリドミドとして1日1回25mgを連日経口投与します。なお、患者の状態により適宜減量してください。
・再発又は難治性の濾胞性リンパ腫及び辺縁帯リンパ腫
リツキシマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはレナリドミドとして1日1回20mgを21日間連日経口投与した後、7日間休薬します。これを1サイクルとして最大12サイクルまで投与を繰り返します。なお、患者の状態により適宜減量してください。
≪用法及び用量に関連する注意≫
<効能共通>
7.1 腎機能障害患者では、本剤の血中濃度が上昇することが報告されているため、投与量及び投与間隔の調節を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分ご注意ください。[9.2、16.6.1、 17.1.3参照]
7.2 高脂肪食摂取後の投与によってAUC及びCmaxの低下が認められることから、レブラミドは高脂肪食摂取前後を避けて投与することが望ましいです。[添付文書16.2.1参照]
7.3 血小板減少又は好中球減少を除くGrade3又は4の副作用(GradeはCTCAEに基づく)が発現した場合には、レブラミドの休薬か中止を考慮してください。投与の再開は、患者の状態に応じて判断してください。
<多発性骨髄腫>
7.4 本剤の投与サイクル、本剤と併用する抗悪性腫瘍剤等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、国内外の最新のガイドライン等を参考にした上で、選択するようお願いします。[添付文書17.1.1-17.1.4参照]
7.5 レブラミド単独投与での有効性及び安全性は確立していません。
7.6 血小板減少又は好中球減少が発現した場合には、下表を参照しレブラミドの休薬等を考慮してください。[添付文書8.2、9.1.2、11.1.3参照]
<5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群>
7.7 血小板減少又は好中球減少が発現した場合には、下表を参照しレブラミドの休薬等を考慮してください。[添付文書8.2、9.1.2、11.1.3参照]
<再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫>
7.8 レブラミドと他の抗悪性腫瘍剤との併用における有効性及び安全性は確立していません。
7.9 血小板減少又は好中球減少が発現した場合には、下表を参照しレブラミドの休薬等を考慮してください。[添付文書8.2、9.1.2、11.1.3参照]
<再発又は難治性の濾胞性リンパ腫及び辺縁帯リンパ腫>
7.10 ツキシマブ(遺伝子組換え)の投与に際しては、添付文書「17.臨床成績」の項の内容、特に用法・用量を十分に理解した上で投与してください。[添付文書17.1.7参照]
7.11 小板減少又は好中球減少が発現した場合には、下表を参照しレブラミドの休薬等を考慮してください。[添付文書8.2、9.1.2、11.1.3参照]
A レナリドミドはサリドマイド誘導体であり、ヒトにおいて催奇形性を有する可能性がある薬剤です[2]。薬剤曝露を避ける観点から、一包化もしくはPTPシートから開封することは推奨されません。
A 「多発性骨髄腫」「5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形性症候群」「再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫」「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫及び辺縁帯リンパ腫」です[2]。
≪効能又は効果に関連する注意≫[2]
<多発性骨髄腫及び5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群>
5.1 添付文書の「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、レブラミドの有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行ってください。
<5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群>
5.2 IPSS※によるリスク分類の中間-2リスク及び高リスクに対する有効性及び安全性は確立していません。
<再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫>
5.3 臨床試験に組み入れられた患者の病型及び予後不良因子の有無等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、レブラミドの有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行ってください。
※International prognostic scoring system(国際予後判定システム)
A[2]
<多発性骨髄腫>
・国内第II相試験
未治療の多発性骨髄腫患者を対象とした第II相試験(MM-025試験)の安全性評価症例26例中25例(96.2%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められました。主な副作用は、発疹12例(46.2%)、好中球減少症7例(26.9%)、便秘6例(23.1%)、血小板減少症6例(23.1%)、貧血5例(19.2%)、白血球減少症5例(19.2%)、皮膚乾燥3例(11.5%)、そう痒症3例(11.5%)、斑状丘疹状皮疹3例(11.5%)、口内炎3例(11.5%)、味覚異常3例(11.5%)、倦怠感3例(11.5%)でした。
・海外第III相試験
未治療の多発性骨髄腫患者を対象とした第III相試験(MM-020試験)のレブラミド+デキサメタゾン併用療法(Ld療法)を病勢進行まで投与したLd群の安全性評価症例において、532例中482例(90.6%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められました。主な副作用は、好中球減少症169例(31.8%)、貧血125例(23.5%)、便秘119例(22.4%)、下痢112例(21.1%)、疲労107例(20.1%)、血小板減少症86例(16.2%)、末梢性感覚ニューロパチー85例(16.0%)、発疹73例(13.7%)、無力症60例(11.3%)、筋痙縮57例(10.7%)、白血球減少症56例(10.5%)、錯感覚56例(10.5%)でした。
Ld療法を18サイクル(72週、1サイクル:28日)投与したLd18群の安全性評価症例において、540例中481例(89.1%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められました。主な副作用は、好中球減少症165例(30.6%)、便秘127例(23.5%)、疲労126例(23.3%)、貧血118例(21.9%)、下痢84例(15.6%)、発疹81例(15.0%)、末梢性感覚ニューロパチー76例(14.1%)、血小板減少症75例(13.9%)でした。
・海外第III相試験
再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした第III相二重盲検比較試験(MM-009試験)のレブラミド+デキサメタゾン群の安全性評価症例において、177例中164例(92.7%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められました。主な副作用は、好中球減少症72例(40.7%)、疲労57例(32.2%)、便秘38例(21.5%)、筋痙攣34例(19.2%)、不眠症34例(19.2%)、血小板減少症33例(18.6%)、貧血32例(18.1%)、下痢28例(15.8%)、悪心23例(13.0%)、発疹23例(13.0%)、浮動性めまい22例(12.4%)、味覚異常22例(12.4%)、末梢性浮腫22例(12.4%)、霧視22例(12.4%)、頭痛20例(11.3%)、深部静脈血栓症19例(10.7%)、振戦18例(10.2%)でした。
<5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群>
・海外第III相試験
5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群患者を対象とした第III相試験(MDS-004試験)の10mg群の安全性評価症例69例中66例(95.7%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められました。10mg群での主な副作用は、好中球減少症52例(75.4%)、血小板減少症33例(47.8%)、そう痒症18例(26.1%)、下痢13例(18.8%)、便秘9例(13.0%)、疲労7例(10.1%)でした。
<再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫>
・国内第II相試験
再発又は再燃の成人T細胞白血病リンパ腫患者を対象とした第II相試験(ATLL-002試験)の安全性評価症例26例中26例(100%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められました。主な副作用は、血小板減少症20例(76.9%)、好中球減少症19例(73.1%)、リンパ球減少症18例(69.2%)、貧血14例(53.8%)、白血球減少症13例(50.0%)、C-反応性蛋白増加10例(38.5%)、低アルブミン血症9例(34.6%)でした。
<再発又は難治性の濾胞性リンパ腫及び辺縁帯リンパ腫>
・国際共同第III相試験
再発又は難治性の濾胞性リンパ腫[Grade1、2、3a]及び辺縁帯リンパ腫患者358例(日本人36例を含む)を対象とした第III相試験(NHL-007試験)のレブラミド+リツキシマブ群の安全性評価症例において、176例中159例(90.3%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められました。主な副作用は、好中球減少症98例(55.7%)、白血球減少症34例(19.3%)、下痢34例(19.3%)、便秘28例(15.9%)、疲労26例(14.8%)、血小板減少症24例(13.6%)、貧血22例(12.5%)、腫瘍フレア19例(10.8%)でした。
A アナフィラキシー、血管浮腫、発疹、蕁麻疹等の過敏症、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群: SJS)、中毒性表皮壊死症(Toxic Epidermal Necrolysis: TEN)があらわれることがあります。また、サリドマイドによる重篤な過敏症の既往歴のある患者は注意が必要です[5]。
レブラミドによる重篤な皮膚障害の予防法は確立していません。観察を十分に行い、異常が認められた場合には、以下の対処法をご参照いただき、適切な処置を行ってください[6]。
<対処法>
観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量、休薬又は投与を中止するなど適切な処置を行ってください。
口唇や眼瞼の浮腫、水疱性の発疹がみられた場合には、直ちに主治医へ連絡するよう、患者に指導してください。
剥離性、剥脱性あるいは水疱性の皮疹、血管浮腫のほか、SJS及びTENなど重篤な皮膚障害が疑われる場合には、投与を中止し、皮膚科医と連携の上、適切な処置を行ってください。
A レブラミドはサリドマイド誘導体です。レブラミドはヒトにおいて催奇形性を有する可能性があるため、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、決して投与しないよう、お願いいたします[4]。
カニクイザルでの生殖発生毒性試験では、妊娠中にレナリドミドを投与された母動物の胎児に奇形が認められています[1]。
<カニクイザル胚・胎児発生に関する試験>
母動物では、レナリドミド投与に関連した所見はみられなかった。子宮内検査では、胎盤重量、胎児体重、胎児の体躯計測及び胎児臓器重量に影響は認められなかった。外表検査では、0.5及び4mg/kg/日群の胎児に直腸内容物の重度の充満を伴う鎖肛がみられ、2及び4mg/kg/日群の胎児各1匹に尾の180°の弯曲が認められた。また、すべての投薬群で四肢の奇形が観察された。四肢の奇形は用量依存的であり、0.5mg/kg/日群では胎児1匹に硬直かつ軽度の下肢回転異常が認められたのみであったが、4mg/kg/日群では四肢の弯曲、短縮、奇形、回転異常及び一部欠損並びに欠指又は多指といった重度の奇形が観察された。骨格検査では1mg/kg/日以上に四肢の奇形が認められた。また、4 mg/kg/日群で胎児の内臓検査に異常がみられた。
本試験での無毒性量は、母動物については4mg/kg/日、胎児については決定できなかった。
<生殖発生毒性試験一覧>
A 腎機能障害患者では、レブラミドの血中濃度が上昇することが報告されているため、投与量及び投与間隔の調節を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意してください[1]。
・腎機能障害患者での薬物動態
腎機能障害患者にレブラミド25 mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであり、AUCは増加しました(中等症~重症(透析必要)腎障害で約3~5倍)。また、腎機能の低下に伴いレナリドミドの経口クリアランス(CL/F)、腎クリアランス(CLR)は減少しました(外国人データ)[7]。
腎機能障害患者での単回投与時の薬物動態パラメータ(平均値±SD)
項目 | 腎機能(実測CLcr値) |
|||||
正常 |
軽症RI |
中等度RI |
重症RI |
ESRD (非透析時) |
ESRD x(透析時) |
|
評価例数 |
7 |
5 |
6 |
6 |
6 |
6 |
Cmax (ng/mL) |
605±246 |
691±110 |
592±177 |
765±81.3 |
552±140 |
385±112 |
AUC∞ (ng・hr/mL) |
2181±703 |
2767±1094 |
6021±847 |
8191±1317 |
11121±2133 |
6830±919 |
tmax (hr) |
1.0 (0.50,2.0) |
1.0 (1.0,1.0) |
1.0 (0.50,1.5) |
1.5 (0.50,2.0) |
1.3 (1.00,2.00) |
2.0 (0.50,6.0) |
t1/2 (hr) |
3.34±0.88 |
3.67±0.70 |
10.6±3.33 |
9.22±2.44 |
15.6±1.14 |
16.1±1.73 |
CL/F (mL/min) |
207±59 |
166±49 |
71±12 |
52±11 |
39±7 |
62±9 |
Vz/F (L) |
58±15 |
51±13 |
62±15 |
41±8 |
52±8 |
86±14 |
平均値(算術平均値)±標準偏差(SD)。ただしtmaxは中央値(最小、最大)。
腎機能別クレアチニンクリアランス(CLcr)実測値:正常:83~145mL/min、軽症:57~74mL/min、中等症:33~46mL/min、重症:17~29mL/min
・腎機能に障害のある患者にレブラミドを投与する場合は、下表に示すクレアチニンクリアランス値を参考値としてレブラミド投与量及び投与間隔の調節を考慮してください。
腎機能障害患者に投与する際の開始用量の目安
用法・用量 | 腎機能(CLcr) |
||
中等症 30≦CLcr<60mL/min |
重症 (透析不要)CLcr<30mL/min |
重症 (透析必要)CLcr<30mL/min |
|
多発性骨髄腫 |
本剤10mgを1日1回投与で開始し、2サイクル終了後忍容可能な場合は15mgに増量できる。 |
本剤15mgを2日に1回投与 |
本剤5mgを1日1回投与(透析日は透析後に投与) |
5番染色体長腕部欠失を伴う 骨髄異形成症候群 |
本剤5mgを1日1回投与 |
本剤2.5mgを1日1回投与a |
本剤2.5mgを1日1回投与b (透析日は透析後に投与) |
再発又は難治性の成人 T細胞白血病リンパ腫 |
本剤10mgを1日1回投与で開始し、投与開始56日経過後忍容可能な場合は15mgに増量できる。 |
本剤15mgを2日に1回投与 |
本剤5mgを1日1回投与 (透析日は透析後に投与) |
再発又は難治性の濾胞性 リンパ腫及び辺縁帯リンパ腫 |
本剤10mgを1日1回投与で開始し、2サイクル終了後忍容可能な場合は15mgに増量できる。 |
本剤5mgを1日1回投与 |
本剤5mgを1日1回投与 (透析日は透析後に投与) |
用法・用量はシミュレーションに基づき算出
a:本剤5mgを2日に1回投与とすることもできる。
b:本剤5mgを週3回投与とすることもできる。
A[2]
8.1 レブラミドカプセル投与開始から投与中止4週間後までは、献血、精子・精液の提供をさせないでください。[添付文書16.3参照]
8.2 レブラミドカプセルの投与により重篤な好中球減少症及び血小板減少症等の骨髄抑制が発現することがあるため、定期的に血液学的検査を行ってください。また、レブラミドカプセルの投与にあたっては、G-CSF製剤の適切な使用も考慮してください。[添付文書7.6、7.7、7.9、7.11、9.1.2、11.1.3参照]
8.3 レブラミドカプセルの投与によりB型肝炎ウイルスの再活性化があらわれることがあるので、レブラミドカプセル投与に先立って肝炎ウイルス感染の有無を確認し、レブラミドカプセル投与前に適切な処置を行ってください。[添付文書9.1.5、11.1.4参照]
8.4 海外臨床試験において、疲労、めまい、傾眠、霧視、錯乱が報告されているので、レブラミドカプセル投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作を避けるよう注意してください。
8.5 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、腫瘍量の多い患者では血清中電解質濃度測定及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察してください。[添付文書11.1.8参照]
8.6 甲状腺機能低下症があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど、観察を十分に行ってください。[添付文書11.1.12参照]
8.7 重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど、観察を十分に行ってください。[添付文書11.1.17参照]
8.8 レブラミドカプセルの投与により、疼痛、発熱、皮疹等を伴うリンパ節の腫大等を特徴とする腫瘍フレアがあらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察してください。