ポマリスト® (ポマリドミド) 添付文書

ポマリスト® (ポマリドミド) 添付文書

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A ヒトでのデータはありませんが、マウス、ラットでは、ポマリストの有効成分であるポマリドミドの中枢神経系への移行性が認められています。

・マウス(雄)にポマリドミド10、50mg/kgを単回経口投与し、血漿、脊髄及び脳中のポマリドミドをLC/MS/MS法で検討したところ、脊髄/血漿中濃度比は、いずれの投与量でも0.34でした。また、脳/血漿中濃度比は10及び50mg/kg投与で、それぞれ0.49、0.46でした。

ラット(雄)にポマリドミド50mg/kgを単回経口投与し、投与後の血液中及び脳内非結合型ポマリドミドをマイクロダイアリシス法により採取し、LC/MS/MS法で測定したところ、非結合型ポマリドミドのAUCtの脳/血液比は0.39±0.03でした(引用[1])。



A ポマリストはサリドマイド誘導体です。ポマリストはヒトにおいて催奇形性を有する可能性があるため、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には決して投与しないよう、お願いいたします(引用[2])。

ヒトでのデータはありませんが、ウサギで胎児への移行性が認められています。

・白色妊娠ウサギ(雌、5~7ヵ月齢)に、ポマリストの有効成分であるポマリドミド5、10、100及び250mg/kgを1日1回、妊娠7~20日目まで経口投与し、LC/MS/MS法を用いて母動物及び胎児の血漿中ポマリドミド濃度を測定した。20日目の投与1.5~2時間後の胎児血漿中でのポマリドミド濃度は、19日目の母動物血漿中でのポマリドミドCmaxの50±14%であった(引用[1])。



A ポマリストは精液中へ移行性が認められています。

ポマリストは精液中へ移行することから投与終了4 週間後まで、性交渉を行う場合は極めて有効な避妊法の実施を徹底(男性患者は必ずコンドームを着用)させ、避妊を遵守していることを十分に確認してください。また、この期間中は妊婦との性交渉は行わせないでください(引用[2])。

・健康成人男性(n=8)に、ポマリストの有効成分であるポマリドミド2mgを4日間反復経口投与したとき、投与4時間後の精液中のポマリドミド濃度は、投与5日目の同時刻での血漿中濃度の約67%でした(引用[1])。



A ヒトでのデータはありませんが、動物試験(ラット)では乳汁中への移行性が認められています。

授乳中の婦人には投与しないことが望ましいですが、やむ得ず投与する場合には授乳を中止させてください(引用[2])。

・分娩後14日目のラット(雌)に、ポマリストの有効成分であるポマリドミド10mg/kgを単回経口投与し、乳汁移行性を検討したところ、投与1、4、8及び24時間後の血漿中濃度は1390、3880、2290及び113ng/mLでした。また、乳汁中濃度はそれぞれ1640、4820、3220及び70.3ng/mLであり、乳汁/血漿中濃度比は0.63~1.5でした(引用[1])。



A ≪作用機序≫

ポマリストの有効成分であるポマリドミドは、サイトカイン産生調節作用、造血器腫瘍細胞に対する増殖抑制作用、血管新生阻害作用等を有すると考えられていまするが、詳細な作用機序は解明されていません(引用[2])。

≪薬理作用≫

・In vitro試験

1.ポマリドミドはヒト多発性骨髄腫由来H929、RPMI-8226、OPM-2及びLP-1細胞株、並びにレナリドミド耐性の細胞株(H929-1051、H929-1052、H929-1053及びH929-1054)の細胞増殖を抑制しました。

2.ポマリドミドはヒト末梢血単核球に対し、リポポリサッカライド(LPS) 刺激による炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1β、IL-6、IL-12等)産生を阻害し、抗炎症性サイトカイン(IL-10)の産生を促進した。また、ポマリドミドはヒト末梢血におけるTh1サイトカイン(IL-2、IFN-γ等)産生を促進しました。

3.ポマリドミドはヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を用いた検討により、血管内皮細胞の遊走又は管腔の形成を抑制しました。

・ In vivo試験

ポマリドミドはヒト多発性骨髄腫由来H929及びH929-1051細胞株を移植したマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示しました。


参考文献


  • 2) 添付文書

  • A 再発又は難治性の日本人多発性骨髄腫患者12名にポマリスト0.5、2、4mgを単回及び反復経口投与した時の薬物動態は下記の通りです。なお、反復投与による蓄積性は認められませんでした。また、外国人でのデータですが、ポマリストの有効成分であるポマリドミドはラセミ体で、in vitroでポマリドミドのヒト血漿蛋白結合率はS体エナンチオマー42.2%、R体エナンチオマー15.8%でした(引用[2])。

    ■日本人多発性骨髄腫患者での単回及び反復投与時の薬物動態パラメータ

    0.5mg(n=6)

    2mg(n=6)

    4mg(n=6)

    単回投

    与時

    (1日目)

    単回投

    与時

    (1日目)

    反復

    投与時

    (10日目)*

    単回

    投与時

    (1日目)

    反復

    投与時

    (10日目)*

    Cmax (ng/mL)

    9.1(18.8)

    35.6(15.9)

    37.6(20.9)

    70.2(49.7)

    71.2(40.6)

    AUC24(ng・hr/mL)

    84.9(14.9)

    364.4(20.3)

    411.5(17.7)

    685.7(43.1)

    713.8(40.1)

    AUC (ng・hr/mL)

    92.6(14.6)

    411.0(26.4)

    463.6(19.4)

    750.1(44.8)

    764.3(40.8)

    tmax(hr)

    2.0(0.9~4.0)

    3.0(2.0~6.0)

    3.0(1.0~4.0)

    3.0(1.0~5.8)

    4.0(2.0~4.0)

    t1/2(hr)

    6.4(12.4)

    6.9(20.7)

    7.3(8.8)

    6.0(21.1)

    5.5(24.4)

    CL/F(L/hr)

    5.4(14.6)

    4.9(26.4)

    4.9(17.7)

    5.3(44.8)

    5.6(40.1)

    VZ/F (L)

    50(18.5)

    48.2(15.9)

    45.6(15.4)

    46(37.4)

    41.6(42.0)

    幾何平均(CV%)。ただし、tmaxは中央値(最小~最大)として示した。

    *:1日目に単回投与後、2日目に休薬し、3~10日目に8日間反復投与した。

    ポマリドミドは、主にCYP1A2及びCYP3A4によって代謝されます。

    [14C]-ポマリドミド(2mg)を健康成人に単回投与したとき、血漿中には未変化体が存在し(血漿中総放射活性の約70%)、10%を超える代謝物はありませんでした。

    投与後8日目までに尿中には投与量の約73%が、糞便中には約15%が排泄されました。また、投与3日目までの尿中及び投与後4日目までの糞便中において、CYP依存性の代謝物は、排泄された総放射活性の約43%であり、CYP非依存性の加水分解代謝物が約25%、未変化体が約10%でした(外国人の成績)(引用[1])。



    A (引用[2]

    デキサメタゾン併用の場合:

    通常、成人にはポマリドミドとして1日1回4mgを21日間連日経口投与した後、7日間休薬してください。これを1サイクルとして投与を繰り返します。なお、患者の状態により適宜減量してください。

    ボルテゾミブ及びデキサメタゾン併用の場合:

    通常、成人にはポマリドミドとして1日1回4mgを14日間連日経口投与した後、7日間休薬してください。これを1サイクルとして投与を繰り返します。なお、患者の状態により適宜減量してください。

    <用法・用量に関連する使用上の注意>

    1. ポマリストを含むがん化学療法は、添付文書の「臨床成績」の項の内容、特に、用法・用量を十分に理解した上で行ってください。

    2. ポマリスト投与により副作用が発現した場合には、添付文書《用法・用量に関連する使用上の注意》の[副作用発現じの本剤の休薬、減量又は中止基準の目安]を参照し休薬等を考慮してください。


    参考文献


  • 2) 添付文書

  • A 効能・効果は「再発又は難治性の多発性骨髄腫」です(引用[2])。

    <効能・効果に関連する使用上の注意>

    1. ポマリストによる治療は、少なくとも1つの標準的な治療が無効又は治療後に再発した患者を対象としてください。

    2. 臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、添付文書の「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者を選択してください。


    参考文献


  • 2) 添付文書

  • A (引用[2]

    <デキサメタゾン併用投与での成績>

    再発の多発性骨髄腫患者を対象とした国内第Ⅱ相臨床試験(MM-011試験)で発現した主な副作用は、好中球減少25/36例(69.4%)、血小板減少12/36例(33.3%)、発疹8/36例(22. 2%)、白血球減少5/36例(13. 9%)、発熱5/36例(13. 9%)、貧血4/36例(11. 1%)、リンパ球減少4/36例(11.1%)、便秘4/36例(11.1%)でした。

    再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした外国第Ⅲ相臨床試験(MM-003試験)で発現した主な副作用は、好中球減少141/300例(47.0%)、貧血74/300例(24.7%)、血小板減少65/300例(21.7%)、疲労63/300例(21.0%)、白血球減少36/300例(12.0%)でした。

    <ボルテゾミブ及びデキサメタゾン併用投与での成績>

    再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験(MM-007試験、日本人症例を含む)で発現した主な副作用は、好中球減少107/278例(38.5%)、血小板減少78/278例(28.1%)、疲労61/278例(21.9%)、便秘50/278例(18.0%)、下痢40/278例(14.4%)、貧血37/278例(13.3%)、末梢性感覚ニューロパチー37/278例(13.3%)でした。


    参考文献


  • 2) 添付文書

  • A 一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与してください(引用[2])。


    参考文献


  • 2) 添付文書

  • A 「肝機能障害のある患者」へのポマリストの投与は安全性が確立していないため、慎重に投与してください。

    <外国人のデータ>

    健康成人(8例)と、肝機能に軽度(Child-Pugh分類A)、中等度(Child-Pugh分類B)及び重度(Child-Pugh分類C)の障害を有する患者(各8例)を対象に、ポマリドミド4mgを単回経口投与した時の薬物動態解析を行った結果では、健康成人に対する軽度、中等度及び重度の肝機能障害を有する患者のCmaxの比はそれぞれ0.942、0.948及び0.758であり、AUCの比はそれぞれ1.512、1.575及び1.715でした(引用[2])。


    参考文献


  • 2) 添付文書

  • A 「腎機能障害のある患者」へのポマリストの投与は安全性が確立していないため、慎重に投与してください(引用[2])。

    急性腎障害が発現することがあるため、定期的に血清クレアチニン、血中尿素窒素(BUN)等の腎機能検査、尿検査及び血液学的検査を行い、患者の状態を十分に観察してください(引用[1])。

    多発性骨髄腫患者に、ポマリストを反復経口投与した時の血漿中薬物濃度データを用いた母集団薬物動態解析の結果では、正常腎機能(クレアチニンクリアランス(CLcr)≧60mL/min)患者(n= 8 )に対する、中等症腎機能障害(30≦推算糸球体濾過量(eGFR)<45mL/min/1.73m2)患者(n=15)、透析が不要な重症腎機能障害(CLcr<30mL/min又はeGFR<30mL/min/1.73m2)患者(n=30)及び透析が必要な重症腎機能障害(CLcr<30mL/min)患者(n=10)でのAUCの比はそれぞれ0.98、0.99及び1.38でした(引用[1])。



    A 小児等に対する安全性は確立していません(使用経験がありません)(引用[2])。


    参考文献


  • 2) 添付文書

  • A 1. ポマリストはヒトにおいて催奇形性を有する可能性があることから、妊娠する可能性のある女性患者にポマリストを投与する場合は、ポマリスト投与開始 4 週間前及びポマリスト投与開始 3 日前から投与開始直前までに妊娠検査を実施し、妊娠していないことを確認後に投与を開始してください。また、ポマリストの治療中は 4 週間を超えない間隔で、ポマリストの投与終了の際はポマリスト投与終了時及びポマリスト投与終了 4 週間後に妊娠検査を実施してください(引用[2])。

    2.ポマリスト投与開始から投与中止 4 週間後までは、献血、精子・精液の提供をさせないでください(引用[2])。

    3.ポマリストの投与により重篤な好中球減少症及び血小板減少症が発現することがあるため、定期的に血液学的検査を行うとともに必要に応じてポマリストの減量、休薬等適切な処置を行ってください。また、ポマリストの投与にあたっては、G-CSF製剤の適切な使用も考慮してください(引用[2])。

    4.外国臨床試験において、傾眠、錯乱、疲労、意識レベルの低下、めまいが報告されているので、ポマリスト投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作を避けるよう注意してください(引用[2])。

    5.急性腎不全が発現することがあるため、定期的に血清クレアチニン、血中尿素窒素(BUN)等の腎機能検査、尿検査及び血液学的検査を行い、患者の状態を十分に観察してください(引用[2])。


    参考文献


  • 2) 添付文書

  • A

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