イストダックス® (ロミデプシン) 添付文書

イストダックス® (ロミデプシン) 添付文書

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A 

■イストダックスの容器、材質は以下の通りです[1]

・バイアルの材質:ガラス(無色)

・ゴム栓の材質:ブロモブチルゴム

・キャップの材質:アルミニウムおよびプラスチック



A イストダックス点滴静注用(ISTO)は遮光保存です[1]



A[1]

■イストダックス点滴静注用の各種条件下における安定性

試験

保存条件

保存形態

保存期間

結果

長期保存試験

25℃/60% RH

無色ガラスバイアル

36ヵ月

変化なし

加速試験

40℃/75%RH

無色ガラスバイアル

6ヵ月

変化なし

光安定性試験

白色蛍光灯及び近紫外蛍光ランプ

無色ガラスバイアル(曝光)

総照度:120万lux・h以上

総近紫外放射エネルギー:200W・h/m2以上

含量低下

類縁物質増加

(いずれも規格内)

無色ガラスバイアル(紙箱入り)

変化なし

測定項目:性状、溶状、類縁物質‡、水分*、エンドトキシン*、不溶性微粒子*、無菌*、定量

‡:光安定性試験においては参考値である。

*:長期保存試験、加速試験でのみ測定。

■イストダックス点滴静注用の専用溶解用液の各種条件下における安定性

試験

保存条件

保存形態

保存期間

結果

長期保存試験

25℃/60% RH

無色ガラスバイアル

48ヵ月

変化なし

加速試験

40℃/75%RH

無色ガラスバイアル

6ヵ月

変化なし

光安定性試験

白色蛍光灯及び近紫外蛍光ランプ

無色ガラスバイアル(曝光)

総照度:120万lux・h以上

総近紫外放射エネルギー:200W・h/m2以上

変化なし

無色ガラスバイアル(紙箱入り)

測定項目:性状、無菌*、不溶性微粒子*、定量(プロピレングリコール及び無水エタノール)

*:長期保存試験、加速試験でのみ測定

■イストダックス点滴静注用を専用溶解用液に溶解後の安定性

試験

保存条件

保存形態

保存期間

結果

専用溶解用液で溶解後のロミデプシン溶液

(ロミデプシン濃度約5mg/mL)

25℃/60% RH

蛍光灯下

約900lux

無色ガラス

バイアル

8時間

変化なし

測定項目:目視検査(外観、微粒子)、pH測定、液体クロマトグラフィー分析(含量及び不純物)



A イストダックス点滴静注用10mgは、調製時の損失を考慮に入れ過量充塡されています[2]

イストダックス点滴静注用10mgは、調製時の損失を考慮に入れ過量充塡されており、専用溶解用液2.2mLで溶解したときに5mg/mLとなります。専用溶解用液は、調製時の損失を考慮に入れ過量充塡されており、充塡量は2.4mLです。


参考文献


  • 2) 添付文書

  • A[2]

    再発又は難治性の日本人末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)患者又は皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)患者(※本邦未承認)にイストダックス(ISTO)9mg/m2(※承認外用量)又は14mg/m2を1、8、15日目に4時間かけて点滴静注したときの投与1日目(単回投与時)及び15日目(反復投与時)の薬物動態は以下の通りです。なお、反復投与による本剤の蓄積性は認められませんでした。

    ISTOのヒト血漿中での蛋白結合率は、50~1000ng/mLの濃度範囲で92%~94%でした(in vitro試験)。

    ■日本人PTCL患者又はCTCL患者での単回及び反復投与時の薬物動態パラメータ

    9mg/m2

    14mg/m2

    1日目(n=3)

    15日目(n=3)

    1日目(n=7)

    15日目(n=6)

    AUCt (ng・h/mL)

    1,023.76(66.7)

    1,024.66(78.1)

    2,325.55(35.3)

    1,825.74(25.8)

    AUC (ng・h/mL)

    1,027.08(66.6)

    NA

    2,330.91(35.2)

    NA

    Cmax (ng/mL)

    269.75(48.9)

    250.05(63.3)

    593.47(37.2)

    489.47(31.2)

    tmax (h)

    4.02(1.9, 4.0)

    1.95(1.9, 3.9)

    2.00(1.0, 4.1)

    2.94(1.0, 4.3)

    t1/2 (h)

    9.52(19.8)

    8.77(18.6)

    9.12(11.6)

    9.01(15.8)

    CL(L/h)

    14.29(60.8)

    NA

    9.31(35.4)

    NA

    Vz (L)

    196.24(86.8)

    NA

    122.47(40.4)

    NA

    幾何平均(%変動係数)。tmaxは中央値(最小,最大)として示した。NA:Not Applicable(該当データなし)

    ■代謝

    イストダックス点滴静注用の有効成分であるロミデプシンは、主にCYP3A4によって代謝され、CYP3A5、CYP1A1、CYP2B6及びCYP2C19による代謝はわずかでした(in vitro試験)。

    ■排泄

    進行性悪性腫瘍患者に本剤14 mg/m2を4時間点滴静注したときの投与24時間後までの尿中排泄率は0.5%未満でした(外国人の成績)。


    参考文献


  • 2) 添付文書

  • A イストダックスの有効成分であるロミデプシンは、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の活性を阻害します。HDAC活性阻害によりヒストン等の脱アセチル化が阻害され、細胞周期停止及びアポトーシス誘導が生じることにより、腫瘍増殖が抑制されると推測されています。しかし、詳細な作用機序は解明されていません[2]

    ■ロミデプシンの作用機序(イメージ図)[1]

    ダイアグラム

自動的に生成された説明


    A[1]

    ヒトでのデータはありませんが、ラットではイストダックスの有効成分であるロミデプシン(ROMI)の血液脳関門(BBB)通過性が検討されています。

    <参考>

    ラットに[14C]-ロミデプシン0.3mg/kgを単回静脈内ボーラス投与したとき、5分後における大脳、小脳又は脳幹の血漿中濃度に対する比はそれぞれ0.03、0.03又は0.02であった。



    A イストダックスの添付文書「適用上の注意」の項には、日局生理食塩液に希釈することと記載されております[2]


    参考文献


  • 2) 添付文書

  • A 通常、成人にはロミデプシンとして14mg/m2(体表面積)を1、8、15日目に4時間かけて点滴静注した後、休薬(16~28日目)します。この28日間を1サイクルとして投与を繰り返します。なお、患者の状態により適宜減量してください[1],2。

    《用法・用量に関連する使用上の注意》

    1.他の抗悪性腫瘍剤との併用における有効性及び安全性は確立していません。

    2.肝機能障害のある患者では、本剤の血中濃度が上昇するとの報告があるため、減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意してください(「慎重投与」、「薬物動態」の項参照)。

    3.本剤の投与により副作用が発現した場合には、以下の基準を目安に、休薬、減量又は投与中止を考慮してください。

    テーブル

自動的に生成された説明


    A 効能・効果は「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫」です[2]

    《効能・効果に関連する使用上の注意》

    1.イストダックス点滴静注10mg投与の適応となる疾患の診断は、病理診断に十分な経験を持つ医師又は施設により行ってください。

    2.臨床試験に組み入れられた患者の病理組織型等について、「臨床成績」の項の内容を熟知し、イストダックス点滴静注10mgの有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行ってください。


    参考文献


  • 2) 添付文書

  • A 骨髄抑制が発現することがあります[2]

    イストダックスを投与中は、定期的に血液学的検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、休薬、減量又は中止等の適切な処置を行ってください[1][2]

    ■副作用発現時の休薬・減量・投与中止基準

    ダイアグラム

自動的に生成された説明

    ダイアグラム

自動的に生成された説明


    A 感染症が発現することがあります[2]

    ≪予防投与≫

    イストダックス投与時の感染症に対する予防投与薬は規定されていません。

    イストダックスの国内第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験(TCL-001試験)では、CD4陽性Tリンパ球のモニタリングが実施され、CD4陽性Tリンパ球が200/μL以下の時には、トリメトプリム・スルファメトキサゾール(ST合剤)、アシクロビル等の予防的な投与が推奨されていました[1]

    ■B型肝炎ウイルス(HBV)キャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)の場合

    ・イストダックス投与に先立ってHBV等の感染の有無を確認し、投与前に適切な処置を行ってください。

    ・イストダックスの投与開始後は継続して肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、HBVの再活性化の徴候や症状の発現に注意してください[1]

    ■エプスタイン・バー ウイルス(EBV)既往感染者の場合

    イストダックス投与中は、定期的に肝機能検査を実施するなど、再活性化の徴候や症状の発現に注意してください[2]

    ≪対処法≫

    血液学的検査及び画像検査を行うなど、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、イストダックスの休薬、減量又は中止等の適切な処置を行って下さい[2]

    また、日本肝臓学会の最新の「B型肝炎治療ガイドライン」等を参考にして、異常が認められた場合には、肝臓専門医に相談することをご考慮ください[1]。発熱、咳嗽等がみられた場合、直ちに主治医へ連絡するよう、患者に指導してください。



    A QT間隔延長が発現することがあります[3]

    ≪予防法≫

    ■心電図検査及び電解質検査[3]

    イストダックスの投与開始前及び投与中は、定期的に心電図検査及び電解質検査(カリウム、マグネシウム、カルシウム等)を行い、患者の状態を十分に観察してください。また、必要に応じて、電解質を補正するなどの適切な処置を行ってください。

    特に、QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者への投与は、慎重投与に該当しますのでご注意ください。

    ■併用薬剤での注意事項[1]

    抗不整脈剤(アミオダロン、ジソピラミド、プロカインアミド、キニジン、ソタロールなど)及びQT間隔延長を起こすことが知られている他の薬剤(クラリスロマイシン、オンダンセトロン、メサドン、モキシフロキサシン、ベプリジル、ピモジドなど)は併用注意に該当します。イストダックスとの併用により、QT間隔延長などの重篤な心電図異常を起こすおそれがありますので、ご注意ください。

    ≪対処法≫

    患者の状態を十分に観察し、イストダックスの休薬、減量又は中止などの適切な処置を行ってください。

    動悸、めまい、胸部不快感、失神などがみとめられた場合、直ちに主治医へ連絡するよう患者に指導してください。

    ≪用法・用量に関連する使用上の注意≫

    ■副作用発現時の休薬・減量・投与中止基準[1]

    ダイアグラム

自動的に生成された説明


    A イストダックスの国内第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験(TCL-001試験)で、再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)患者において発現した主な副作用は、血小板減少症47例(97.9%)、リンパ球減少症40例(83.3%)、白血球減少症39例(81.3%)、好中球減少症39例(81.3%)、味覚異常29例(60.4%)、悪心26例(54.2%)、食欲減退23例(47.9%)、発熱22例(45.8%)、嘔吐19例(39.6%)、貧血16例(33.3%)、疲労15例(31.3%)でした[2]


    参考文献


  • 2) 添付文書

  • A 一般に高齢者では生理機能が低下していることが多いので、患者の状態を観察しながら投与してください1,2。

    イストダックスの国内第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験TCL-001試験(第Ⅱ相期)では、年齢層別の奏効率が解析されており、65歳未満 50.0%(6/12名)、65歳以上39.3%(11/28名)でした。また、年齢層別(65歳未満、65歳以上)による有害事象の発現状況は下記のとおりでした。