カムザイオス® (マバカムテン) 添付文書
カムザイオス® (マバカムテン) 添付文書
A 本剤を飲み忘れた場合は、可能な限り速やかに服用し、翌日の通常の服用時間に次回分を服用します。同じ日に2回分を服用しないよう、ご指導ください。
A 電子化された添付文書(電子添文)上、本剤の1日1回の服用タイミグについては規定されていません[1]。本剤は、食前・食後どちらの服用も可能です。しかしながら、グレープフルーツジュースが中程度又は弱いCYP3A4阻害剤として、セイヨウオトギリソウ(St.Johnʼs Wort:セント・ジョーンズ・ワート)含有食品が強い、中程度又は弱いCYP3A4 誘導剤として併用注意となっています。詳細については電子添文の記載の注意事項をご確認ください[1]。
<参考>
電子添文[1]
7.用法及び用量に関連する注意
7.6本剤投与中に強い若しくは中程度のCYP2C19阻害剤、又は中程度若しくは弱いCYP3A4阻害剤の投与を開始又は増量する場合は用量を1段階減量(1mgを投与中の場合は休薬)し、4週間後にLVEFを確認すること。[10.2参照]
10.2 併用注意(併用に注意すること)
中程度又は弱いCYP3A4阻害剤
グレープフルーツジュース
本剤の副作用が増強され、収縮機能障害による心不全のリスクが高まるおそれがある。
強い、中程度又は弱いCYP3A4誘導剤
セイヨウオトギリソウ(St. Johnʼs Wort:セント・ジョーンズ・ワート)含有食品等
本剤の有効性が減弱するおそれがある。本剤と併用中にこれらの薬剤の投与を中止又は減量すると収縮機能障害による心不全のリスクが高まるおそれがある。
16. 薬物動態
16.2 吸収
16.2.2 食事の影響
健康被験者(23例)にマバカムテン15mgを高脂肪食摂取後に単回経口投与したとき、Tmaxは空腹時投与で1時間であったのに対し食後投与では4時間であり、高脂肪食により吸収の遅延が生じた。空腹時投与と比較して食後投与ではAUC(INF)が12.3%、Cmaxが50%減少した(外国人データ)。
インタビューフォーム[2]
空腹時投与と比較して食後投与では、AUC(INF)の減少は12.3%であり、全体的なバイオアベイラビリティに対して臨床的に重要な影響は示されませんでした。
A 電子化された添付文書(電子添文)の用法及び用量は以下の通りです[1]。また、用量及び用法の設定経緯と根拠はインタビューフォームに記載されております[2]。
6.用法及び用量
通常、成人にはマバカムテンとして2.5mgを1日1回経口投与から開始し、患者の状態に応じて適宜増減する。ただし、最大投与量は1回15mgとする。
<設定根拠[2]>
3.用法及び用量
(2)用法及び用量の設定経緯・根拠
海外第Ⅲ相試験(MYK-461-005、MYK-461-007、MYK-461-017)では、開始用量として5mg が用いられ、症候性の閉塞性肥大型心筋症患者に対する有効性、及び忍容可能な安全性プロファイルが示された。国内第Ⅲ相試験(CV027004)では、MYK-461-005 試験の対象集団と比較して一般的に体重が低く、CYP2C19 poor metabolizer(PM)の割合が高い日本人患者の安全性を確保するとともに、MYK-461-005 試験からの変更を最小限に抑えながら心エコーに基づく用量調節法を採用するため、開始用量を2.5mg に設定した。結果、CV027004 試験でもMYK-461-005 試験と同様の有効性が認められた。海外第Ⅰ相単回投与試験(MYK-461-011)でも、日本人と白人で薬物動態、安全性及び忍容性に大きな差は認められておらず、また、母集団薬物動態解析の結果、民族差(日本人/外国人)は有意な共変量ではなかった。CYP2C19 PM や低体重の患者では曝露量の増加が予想されるものの、個々の患者の安全性を確保するために、用法及び用量に関連する注意にて、用量調節の基準を設定している。さらに、海外臨床試験においてCYP2C19 表現型に関わらず5mg の用量で投与を開始した際、CYP2C19 PM 患者においても忍容可能な安全性プロファイルが確認された。以上より、製造販売承認申請時には日本人患者に対しても5mg での治療開始が妥当と考えたが、製造販売承認申請の審査過程において、安全性の懸念等を考慮し、開始用量を2.5mg に変更した。
A 電子化された添付文書(電子添文)の用量調節の基準は以下の通りです[1]。また、用量調節の基準の設定根拠は、インタビューフォームの「用量及び用法に関するの注意」の【解説】に記載されております[2]。
<参考>
電子添文[1]
7.用法及び用量に関連する注意
7.1 投与開始前に心エコー検査により左室駆出率(LVEF)を評価し、LVEFが55%未満の患者には投与を開始しないこと。[8.2参照]
7.2 開始用量は1日1回2.5mgとし、投与量調節時は下表を参考に1段階ずつ増量又は減量を行うこと。ただし、最小投与量は1日1回1mg、最大投与量は1日1回15mgとすること。
7.3 投与開始4週間後、心エコー検査によりバルサルバ負荷後の左室流出路(バルサルバLVOT)圧較差及びLVEFを確認した上で、7.4項に示す用量調節基準に従い1段階減量又は用量維持を判断すること。[7.4、8.2参照]
7.4 投与開始12週間以降は、少なくとも12週間ごとに心エコー検査によりバルサルバLVOT圧較差及びLVEFを確認した上で、以下の用量調節基準に従い1段階増量又は用量維持を判断すること。増量は12週間以上の間隔で行うこととし、増量した場合は、4週間後に心エコー検査を実施し、LVEFが50%未満にならない限り増量後の用量を維持する。患者が維持用量に達したと判断された場合(12週間ごとの心エコー検査で2回連続してバルサルバLVOT圧較差が30mmHg未満かつLVEFが55%以上の場合)、心エコー検査の実施の間隔は最大で24週間とすることができる。[7.3、8.2参照]
インタビューフォーム[2]。
「4.用法及び用量に関連する注意」の設定根拠:
4.用法及び用量に関連する注意
【解説】
7.2、7.3、7.4
用法及び用量は、心エコー検査で測定した臨床反応(LVEF 及びバルサルバLVOT 圧較差)を指標とし用量調節を行うこととした。用量調節基準の設定根拠を以下に示した。
<用量調節基準>
MYK-461-005 試験では、血漿中薬物トラフ濃度及び心エコー検査で測定した臨床反応(LVEF 及びバルサルバLVOT 圧較差)を基準に用量調節を行い、概して良好な忍容性が示された。また、本試験結果より、心エコー検査による臨床反応(LVEF 及びバルサルバLVOT 圧較差)の評価は、血漿中薬物濃度の評価よりも薬力学の個体間差を考慮した用量決定に適していると判断された。
この結果をもとにMYK-461-007 試験では、心エコー検査により判定した臨床反応のみを指標とする用量調節の基準に変更されたが、これまでに観察された本剤の治療上の有益性及び忍容性はMYK-461-005 試験の結果と一致していた。なお、当該試験で、バルサルバLVOT 圧較差30mmHg 以下を早期減量基準としていたが、4 週時に減量された患者を対象に、その後12 週時の増量基準への該当の有無を検証した結果、患者の安全性を確保しながら、治療中の不必要な投与量の変動を抑えるためには、バルサルバLVOT圧較差20mmHg 未満とするのが適切であると判断された。また母集団薬物動態/曝露‐反応の検討結果からも、バルサルバLVOT 圧較差20mmHg 未満を早期減量基準とすることで良好なリスク・ベネフィットプロファイルが得られることが示唆された。これらの結果より、治療開始4 週後の減量の閾値としてバルサルバLVOT 圧較差20mmHg 未満を用いることで、早期の有効性反応から、忍容性の評価を可能にし、治療初期の大部分の患者において投与量を最適化することが可能になると考えられた。
一方漸増時のLVEF 基準であるLVEF55%以上はCV027004 試験で用いられていた基準であり、海外の臨床試験で用いられた基準(LVEF50%以上)よりも保守的な基準であった。これは増量に伴い予測される心筋収縮能への影響に備えるために設定された値であり、増量基準として妥当であると考えられた。
A 電子化された添付文書(電子添文)上、以下の薬剤が併用禁忌もしくは併用注意となっています[1]。併用する場合の用量調節や心エコー検査など詳細については、電子添文をご確認ください。
<参考>
電子添文[1]
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
2.3イトラコナゾール、クラリスロマイシン含有製剤、ボリコナゾール、ポサコナゾール、リトナビル含有製剤、コビシスタット含有製剤、セリチニブ、エンシトレルビルフマル酸、ロナファルニブ、ジョサマイシン、ミフェプリストン・ミソプロストールを投与中の患者[10.1参照]
7.用法及び用量に関連する注意
7.6本剤投与中に強い若しくは中程度のCYP2C19阻害剤、又は中程度若しくは弱いCYP3A4阻害剤の投与を開始又は増量する場合は用量を1段階減量(1mgを投与中の場合は休薬)し、4週間後にLVEFを確認すること。[10.2参照]
7.7本剤投与中に強い若しくは中程度のCYP2C19誘導剤、又は強い、中程度若しくは弱いCYP3A4誘導剤の投与を中止又は減量する場合は用量を1段階減量(1mgを投与中の場合は休薬)し、4週間後にLVEFを確認すること。[10.2参照]
10.相互作用
本剤は、主にCYP2C19及びCYP3A4によって代謝される。[16.4参照]
A 電子化された添付文書(電子添文)上、以下の薬剤が併用禁忌となっています[1]。カムザイオスカプセルの薬物相互作用に関する臨床試験成績等から、CYP3A4 阻害剤と併用した場合、有効成分であるマバカムテンの血中濃度を上昇させる可能性があります。これらの薬剤はCYP3A4 を強く阻害し、副作用が強くあらわれるおそれがあることから設定されました[2]。
<参考>
電子添文[1]
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
2.3イトラコナゾール、クラリスロマイシン含有製剤、ボリコナゾール、ポサコナゾール、リトナビル含有製剤、コビシスタット含有製剤、セリチニブ、エンシトレルビルフマル酸、ロナファルニブ、ジョサマイシン、ミフェプリストン・ミソプロストールを投与中の患者[10.1参照]
10.相互作用
本剤は、主にCYP2C19及びCYP3A4によって代謝される。[16.4参照]
A 本剤投与開始後、LVEFが50%未満になった場合は、以下の基準に従い、本剤を休薬又は中止してください[1]。また、本剤を最大耐用量で6ヵ月間投与しても、治療反応が得られない場合には、本剤の投与継続の可否を検討してください[1]。
<参考>
電子添文[1]
7.5 本剤投与開始後、LVEFが50%未満になった場合は、以下の基準に従い、本剤を休薬又は中止すること。
本剤の休薬及び中止基準
休薬基準 |
LVEFが50%未満の場合、LVEFが50%以上に回復するまで少なくとも4週間休薬する。 LVEFが50%以上に回復した後、休薬時より1段階減量して投与を再開する。ただし、1mg投与中に休薬した場合は1mgで投与を再開する。 投与再開から4週間後及び12週間後にLVEFを確認する。 |
中止基準 |
1mg投与中にLVEFが50%未満により休薬し、1mgでの投与再開から4週間後にLVEFが50%未満になった場合、投与を中止する。 |
7.6 本剤投与中に強い若しくは中程度のCYP2C19阻害剤、又は中程度若しくは弱いCYP3A4阻害剤の投与を開始又は増量する場合は用量を1段階減量(1mgを投与中の場合は休薬)し、4週間後にLVEFを確認すること。[10.2参照]
7.7 本剤投与中に強い若しくは中程度のCYP2C19誘導剤、又は強い、中程度若しくは弱いCYP3A4誘導剤の投与を中止又は減量する場合は用量を1段階減量(1mgを投与中の場合は休薬)し、4週間後にLVEFを確認すること。[10.2参照]
7.8 本剤を最大耐用量で6ヵ月間投与しても、治療反応が得られない場合には、本剤の投与継続の可否を検討すること。
A 発現頻度1~3%の副作用は以下の通りです。また、電子化された添付文書(電子添文)上、心不全は重大な副作用に該当します。カムザイオスカプセルの投与により心不全が発現した場合には、電子添文の記載を参考に、カムザイオスカプセルの休薬又は中止等の適切な処置を行ってください[1]。
<参考>
電子添文[1]
11.副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1重大な副作用
11.1.1心不全(頻度不明)
収縮機能障害により心不全を起こすことがある。ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)の上昇が見られた場合、又は呼吸困難、胸痛、疲労、動悸、下肢浮腫等が発現又は増悪した場合は、速やかに心機能の評価を行い、休薬又は中止等適切な処置を行うこと。[8.2、9.1.1参照]
11.2その他の副作用
1~3%未満 |
|
神経系障害 |
浮動性めまい、頭痛 |
一般・全身障害および投与部位の状態 |
疲労、末梢性浮腫 |
心臓障害 |
心房細動、動悸 |
呼吸器、胸郭および縦隔障害 |
労作性呼吸困難、呼吸困難 |
筋骨格系および結合組織障害 |
筋力低下 |
臨床検査 |
駆出率減少 |
A カムザイオスカプセルの投与による心不全の発現頻度は不明です[1]。また、心不全は重大な副作用に該当します[1]。心不全が発現した場合には、電子化された添付文書(電子添文)の記載を参考に、カムザイオスカプセルの休薬又は中止等の適切な処置を行ってください[1]。
ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)の上昇が見られた場合、又は呼吸困難、胸痛、疲労、動悸、下肢浮腫等が発現又は増悪した場合は、収縮機能障害の徴候及び症状である可能性があるため、速やかに心機能の評価を行い、休薬、投与中止等適切な処置を行ってください。
<参考>
電子添文[1]
8. 重要な基本的注意
8.2本剤はLVEFを低下させ、収縮機能障害により心不全を引き起こすおそれがある。本剤投与中は、定期的に心エコー検査を行い、患者の状態(バルサルバLVOT圧較差及びLVEF)をモニタリングすること。[7.1、7.3、7.4、9.1.1、10.2、11.1.1参照]
11.1 重大な副作用
11.1.1 心不全(頻度不明)
収縮機能障害により心不全を起こすことがある。ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)の上昇が見られた場合、又は呼吸困難、胸痛、疲労、動悸、下肢浮腫等が発現又は増悪した場合は、速やかに心機能の評価を行い、休薬又は中止等適切な処置を行うこと。[8.、9.1.1参照]
不整脈のある患者への投与時の注意点は?
A 電子化された添付文書(電子添文)上、不整脈(心房細動又はその他のコントロール不良の頻脈性不整脈を含む)等の重篤な合併症のある患者へのカムザイオスカプセルの投与は禁忌ではありません。しかしながら、本剤はLVEFを低下させ、収縮機能障害による心不全のリスクが高まるおそれがあります[1]。本剤の投与により心不全が発現した場合には、電子添文の記載を参考に、本剤の休薬又は中止等の適切な処置を行ってください[1]。
カムザイオスカプセルの電子添文[1]
<参考>
電子添文[1]
8. 重要な基本的注意
8.2本剤はLVEFを低下させ、収縮機能障害により心不全を引き起こすおそれがある。本剤投与中は、定期的に心エコー検査を行い、患者の状態(バルサルバLVOT圧較差及びLVEF)をモニタリングすること。[7.1、7.3、7.4、9.1.1、10.2、11.1.1参照]
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 収縮機能障害による心不全のリスクが高まるおそれがある患者
(1)不整脈(心房細動又はその他のコントロール不良の頻脈性不整脈を含む)等の重篤な合併症のある患者[8.2、11.1.1参照]
11.1 重大な副作用
11.1.1 心不全(頻度不明)
収縮機能障害により心不全を起こすことがある。ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)の上昇が見られた場合、又は呼吸困難、胸痛、疲労、動悸、下肢浮腫等が発現又は増悪した場合は、収縮機能障害の徴候及び症状である可能性があるため、速やかに心機能の評価を行い、休薬、投与中止等適切な処置を行うこと。
A 本剤投与中に心臓の大手術(例:冠動脈バイパス術、弁膜症手術、心筋切除術、心臓移植)を受けると収縮機能障害による心不全のリスクが高まるおそれがありますのでご注意ください[1]。電子化された添付文書(電子添文)上、手術前後の休薬期間は設定されておりませんが、本剤の投与により心不全が発現した場合には、電子添文の記載を参考に、本剤の休薬又は中止等の適切な処置を行ってください[1]。
<参考>
電子添文[1]
8. 重要な基本的注意
8.2本剤はLVEFを低下させ、収縮機能障害により心不全を引き起こすおそれがある。本剤投与中は、定期的に心エコー検査を行い、患者の状態(バルサルバLVOT圧較差及びLVEF)をモニタリングすること。[7.1、7.3、7.4、9.1.1、10.2、11.1.1参照]
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 収縮機能障害による心不全のリスクが高まるおそれがある患者
(2)心臓手術(例:冠動脈バイパス術、弁膜症手術、心筋切除術、心臓移植)を受ける患者[8.2、11.1.1参照]
11.1 重大な副作用
11.1.1 心不全(頻度不明)
収縮機能障害により心不全を起こすことがある。ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)の上昇が見られた場合、又は呼吸困難、胸痛、疲労、動悸、下肢浮腫等が発現又は増悪した場合は、収縮機能障害の徴候及び症状である可能性があるため、速やかに心機能の評価を行い、休薬、投与中止等適切な処置を行うこと。
A 電子化された添付文書(電子添文)上、腎機能障害のある患者への投与について制限はありません[1]。また、母集団薬物動態解析の結果、eGFRが45、75、95 mL/min/1.73m2の被験者で曝露量に差は認められませんでした [1]。
<参考>
電子添文[1]
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
母集団薬物動態解析の結果、eGFRが45、75、95 mL/min/1.73m2の被験者で曝露量に差は認められなかった (外国人データ)。
インタビューフォーム[2]
10.特定の背景を有する患者
(1) 腎機能障害患者
母集団薬物動態解析の結果、eGFR が45、75、95mL/min/1.73m2 の被験者で曝露量に差は認められなかった。eGFR値が29.5~145mL/min/1.73m2の範囲で構成される母集団薬物動態解析の結果、eGFRはモデルにおいて統計学的に有意な共変量であることが示された。しかしeGFRの中央値が75mL/min/1.73m2及び45mL/min/1.73m2の被験者での定常状態における曝露量の中央値は、標準被験者(eGFR中央値:95mL/min/1.73m2)と比較してそれぞれ1.05倍及び1.17倍の増加であった。
A 重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者は、電子化された添付文書(電子添文)上、禁忌に該当し、投与できません[1]。
なお、重度の肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施しておりません[1]。
<参考>
電子添文[1]
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
2.4重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者[9.3.1参照]
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者
投与しないこと。本剤の血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある。重度の肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。[2.4参照]
9.3.2 肝機能障害のある患者(重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者を除く)
本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。[16.6.2参照]
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.2 肝機能障害患者
軽度又は中等度(Child-Pugh分類A又はB)の肝機能障害被験者及び肝機能正常被験者に、マバカムテン25mgを単回経口投与したとき、正常な肝機能を有する被験者と比較して、軽度及び中等度の肝機能障害を有する被験者でマバカムテンのAUC(last)はそれぞれ3.24倍及び1.87倍に増加し、Cmaxはそれぞれ1.12倍及び1.10倍であった(外国人データ)。
A 妊婦又は妊娠している可能性のある女性は、電子化された添付文書(電子添文)上、禁忌に該当し、投与できません[1]。本剤投与中の患者が妊娠した場合は、胎児に影響を及ぼす危険性があることを患者に十分説明してください。動物実験(ラット及びウサギ)において、臨床最大曝露量と同程度の曝露量で胚致死作用及び催奇形性が認められています[1]。
また、妊娠する可能性のある女性への投与時には、避妊の必要性等の説明等、電子添文の記載[1]を参考にご対応をお願いいたします。
<参考>
電子添文[1]
2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)
2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後4ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと。本剤投与中の患者が妊娠した場合は、胎児に影響を及ぼす危険性があることを患者に十分説明すること。動物実験(ラット及びウサギ)において、臨床最大曝露量と同程度の曝露量で胚致死作用及び催奇形性が認められている。
<参考>
インタビューフォーム
◆オーストラリアの妊娠カテゴリー[2]
(An Australian categorisation of risk of drug use in pregnancy)
Category D(2024年10月)
◆生殖発生毒性試験[2]
1)受胎能及び着床までの初期胚発生に関する試験
<雌雄ラット(SD):マバカムテン0.3、0.6、1.2mg/kg/日投与>
マバカムテンを交配前(雄28日間、雌15日間)、交配期間、交配後及び妊娠期間に1日1回投与した雌雄ラットにおける忍容性は良好であった。雌雄いずれにおいても、マバカムテンに関連した死亡、一般状態の変化、剖検所見、交配及び受胎能の変化は認められず、雄における生殖器重量並びに精子の運動能、形態、数及び密度、雌における性周期、卵巣及び子宮検査の所見にも影響は認められなかった。受胎能及び着床までの初期胚発生における雌雄親動物の無毒性量(NOAEL)は1.2mg/kg/日と推定された。
2)胚・胎児発生に関する試験
<妊娠ラット:マバカムテン1.0、1.5、2.0mg/kg/日投与>
マバカムテンを妊娠6~17 日まで経口投与した結果、対照群と比較して、妊娠子宮重量の減少を伴う着床後胚損失率の増加、母動物あたりの生存胎児数の減少、1.5mg/kg/日以上の用量での胎児体重の減少(1.5及び2.0mg/kg/日で同程度)が認められたが、いずれの用量でも母動物毒性は認められなかった。
<妊娠ラット:マバカムテン0.3、0.75、1.5mg/kg/日投与>
マバカムテンを12日間(妊娠6~17日)経口投与した結果、1.5mg/kg/日の用量で、着床後胚損失率の増加、胎児成長の変化(平均胎児体重の減少及び胎児の骨化の軽微な遅延)、内臓異常(全内臓逆位1例を含む胎児2例の心臓奇形)及び骨格異常(主に胸骨分節癒合)の発現頻度増加といった胚・胎児毒性が認められた。これより、母動物に関する無作用量(NOEL)は1.5mg/kg/日、胚・胎児発生に関するNOELは0.75mg/kg/日と推定された。
<雌ウサギ(NZW:New Zealand White):マバカムテン1、3、10mg/kg/日投与>
マバカムテンを14日間経口投与した結果、3mg/kg/日以上の用量で死亡が認められ、10mg/kg/日群の生存例では一般状態の変化(横臥位及び自発運動の低下)が認められた。1mg/kg/日群では毒性所見は認められず、良好な忍容性が認められた。
<妊娠ウサギ(NZW):マバカムテン0.7、1.5、2.0mg/kg/日投与>
マバカムテンを妊娠6~19日に経口投与した結果、1.5mg/kg/日以上の用量で母動物毒性(1.5mg/kg/日群で軽微な体重増加量減少、2.0mg/kg/日群で一過性の体重減少及びごく軽微~中等度の摂餌量減少)が認められた。したがって、体重への影響に基づき、本試験におけるマバカムテンの最大耐量(MTD)は2.0mg/kg/日と推定された。
<妊娠ウサギ(NZW):マバカムテン0.6、1.2、2.0mg/kg/日投与>
マバカムテンを妊娠6~19日に経口投与した結果、1.2mg/kg/日以上の用量で母動物毒性(用量依存的な体重、体重増加量及び摂餌量の減少)、外表異常(口蓋裂)が認められた。2.0mg/kg/日群で原因不明の早期死亡が認められ、心臓の心室拡張が認められたものの関連する心不全の病理組織学的所見は認められなかった。また大血管奇形(肺動脈幹及び大動脈弓の拡張)及び胸骨分節癒合の発現頻度増加が認められた。胚・胎児生存率及び胎児体重にマバカムテンに関連した影響は認められなかった。これより、本試験における母動物及び胚・胎児発生に関するNOELは0.6mg/kg/日と推定された。
本剤投与中及び最終投与後4ヵ月間は授乳しないことが望ましい。本剤は乳汁中に移行する可能性がある。
インタビューフォーム[2]
6)授乳婦
【解説】
本剤又はその代謝物の乳汁移行性については検討されていないが、マバカムテンの物理化学的性質及びタンパク結合率等から、乳汁中に移行する可能性がある。母乳を介した新生児又は乳児に対する本剤の影響は不明であり、否定できないことから設定した。
A ヒトで検討したデータはありません。ご参考までに動物実験(ウサギ)において、マバカムテンが血液-胎盤関門を通過して胎児へ移行することが示唆されています[2]。
<参考>
インタビューフォーム[2]
5.分布
(2)血液-胎盤関門通過性
妊娠ウサギ(New Zealand White)にマバカムテンを0.6、1.2 及び2mg/kg/日の用量で妊娠6~12 日の7 日間、1 日1 回反復経口投与し、妊娠12 日の投与後24 時間に血漿、胚、胚体外組織(胚膜、胎盤及び羊水)を採取してマバカムテン濃度を測定した結果、いずれの投与群においても血漿、胚、胚体外組織中でマバカムテンが検出され、血漿中濃度に対する胚中濃度の比は0.09~0.15 であったことから、マバカムテンが血液-胎盤関門を通過して、胎児へ移行することが示唆された。
A 電子化された添付文書(電子添文)上、男性患者のパートナーの妊娠に関して、規定はありません[1]。しかしながら、本剤は妊婦への投与は禁忌であり、妊娠する可能性のある女性への投与に関する注意喚起も行っております[1]。
<参考>
電子添文[1]
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後4ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。[9.5参照]
インタビューフォーム[2]
◆オーストラリアの妊娠カテゴリー[2]
(An Australian categorisation of risk of drug use in pregnancy)
Category D(2024年10月)
5.分布
(5)その他の組織への移行性
精液<外国人データ>
マバカムテン18.5mg 又は25mg 1 日1 回を24~28 日間反復経口投与された健康男性それぞれ4 例、6 例から精液検体を採取し、精液中マバカムテン濃度を測定したところ、精液/血漿中濃度比の平均値(SD)はそれぞれ0.039(0.0047)及び0.044(0.016)であり、マバカムテンを24~28 日間1 日1 回投与したとき、健康男性の精液に移行するマバカムテンの量は少ないことが示された。(海外第I 相試験:MYK-461-003)
2.毒性試験
(5)生殖発生毒性試験
1)受胎能及び着床までの初期胚発生に関する試験
<雌雄ラット(SD):マバカムテン0.3、0.6、1.2mg/kg/日投与>
マバカムテンを交配前(雄28日間、雌15日間)、交配期間、交配後及び妊娠期間に1日1回投与した雌雄ラットにおける忍容性は良好であった。雌雄いずれにおいても、マバカムテンに関連した死亡、一般状態の変化、剖検所見、交配及び受胎能の変化は認められず、雄における生殖器重量並びに精子の運動能、形態、数及び密度、雌における性周期、卵巣及び子宮検査の所見にも影響は認められなかった。受胎能及び着床までの初期胚発生における雌雄親動物の無毒性量(NOAEL)は1.2mg/kg/日と推定された。
A
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